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2022

春の予感

 佐藤よりパスを受けました、新三年生の丹羽と申します。よろしくお願いします。ちょうど新歓の時期ということもありますので、私個人の入部のきっかけをはじめに簡単に記しておきます。


 私は中高では軟式野球部に所属していました。小学生の頃から野球はプレーするのも見るのも好きだったのでそれなりに楽しい日々ではありましたが、大学からは今までやったことがなかった個人スポーツに挑戦したくなりました。そこで色々な部活やサークルの新歓を見て回っていたのですが、今までの経験を多少なりとも生かしたいという思いもありました。そしてたどり着いたのがゴルフでした。いうまでもなく、ゴルフは個人スポーツです。「連帯感を高めるために」指導者にウサギ跳びを強いられるようなことはなく、自分で練習を組み立てて合理的に実力の向上に充てることができます。また、物事を大雑把に捉えて勝手に共通点を見出しがちな私にとっては、球を棒で飛ばすという点でゴルフは野球の打撃と同じだったのです。そんなわけで、高校時代には夢にも思っていませんでしたが、大学ではゴルフを始めることになりました。何があるかはわからないものです。(何気に重要な点として金銭面での理由も挙げられます。何かとお金がかかるイメージのゴルフですが、私は父親の古い道具を無料で譲り受けることができ、かなり気軽に始められました。加えて、様々な特典を有している東大ゴルフ部を選択することは合理的でした)


 さて、こうして入部を果たしたわけですが、最初に思ったことは、ゴルフは実に難しいスポーツだということです。あるクラブXのあるスイングを習得したとしても、別のクラブYを練習しているうちに自分のスイングが変わり、以前よりXのショットが下手になっている、ということが頻繁に起こります。少なくとも自分にとっては、練習を積み重ねれば積み重ねるほど上達していく、という単純なものではないのです。さらには、ほんの些細な力加減やスイング軌道のズレによってショットが全く異なったものになります。アイアンでダフれば飛距離が大幅に落ちてしまいますし、アプローチで距離感を間違えればOBにさえなってしまうかもしれません。そして、コースに出れば異常に傾いた斜面、鬱蒼とした林、蟻地獄のようなバンカーが待ち構えています。様々なライから合格点のショットを打つことは初心者にとっては困難です。


 このように、ゴルフというスポーツを難しく感じていた私は、部活に競技の面で直接貢献することは現実的ではないと考えました。そこで、当面試合は上手な方々に任せ、自分のゴルフ技術の向上に努めるということにしました。運動会ゴルフ部は試合での勝利という共通の目標に向けて協力する集団である、ということを考えると、このような態度は望ましくはないでしょう。しかし、実際上の問題として自分は現レギュラーの方たちとはかなりの実力差があり、そのような状況では自分の実力の向上が手近な目標とならざるを得ません。それに、そもそも上達しなければ試合に出ることなど夢のまた夢です。まずは自分の実力を向上させることに集中しよう、そう考えました。


 ここで一つ問題となるのは、果たしてチームの勝利に関係のない私は組織から見て必要な存在であるか、ということです。はっきりと言ってしまえば、大して必要ない存在です。強いて言えば、多少の部費を支払うことで「納税者」としての役割を果たしたり、練習場との調整役を担当するなどの役割を果たしているのかもしれません。しかし、試合での勝利と関係がないことには変わりがありません。では、チームに貢献できないにもかかわらず、なぜ私は部活動に所属しているのでしょうか?


 答えはシンプルで、ゴルフ、および同期や先輩後輩のみなさんから私が良い刺激をたくさんもらうことができていると感じているからです。ゴルフの難しさは人生が思い通りにならないものであることを教えてくれますし、ゴルフ特有のマナーや文化は斬新な視点を提供してくれます。キャディーバイトを通じて様々な方と接することも良い経験です。また、自分といえども流石に時には上達を実感することもあります。うまくショットが打てると素直に嬉しいものです。そして何より、バラエティーに富んだ部員の方たちから様々な刺激を受けることができています。ゴルフが上手な人、人格が素晴らしい人、自分と全く異なる価値観の人、などから日々得るところが多々あります。部が私を必要としていなくとも、私が部を必要としている、というところでしょうか。


 というわけで、模範的な体育会の部員とは言えないかもしれませんが、それなりに日々活動しております。最近では調子の良かったクラブが翌日にシャンクし出すなど二歩進んでは三歩下がる厳しい冬が続いていましたが、もうじき三歩進んで二歩下がるような、うららかな春が訪れるのではないかと期待しています。


 さて、次のバトンは私の自宅から走って渡せる距離に住んでいる、同期の井田に回そうと思います。


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